
週5で出社する理由、説明できますか。
毎週5日、会社に通う。当たり前すぎて疑ったこともないかもしれません。でも、なぜ週5なのか、なぜ毎日なのかを説明しようとすると、意外と言葉に詰まります。無自覚に受け入れている「当たり前」を、一度立ち止まって見直します。
働き方・キャリア

親の介護は、たいていある日突然始まります。転倒して入院した、認知症の診断が出た、一人暮らしが難しくなった。心の準備がないまま、ある日を境に、あなたの生活に「介護」という大きな役割が加わります。
そのとき、仕事を続けられるかどうかを大きく左右するものがあります。仕事の内容でも、上司の理解でもなく、意外に思うかもしれませんが「通勤の有無」です。介護と仕事の両立がうまくいくかどうかは、実はこの一点にかなり握られています。今日は、なぜ通勤が両立の壁になるのか、そして働き方を変えると何が変わるのかを考えてみます。
介護がやっかいなのは、予定通りに進まないことです。デイサービスの送り出しと迎え、通院の付き添い、ケアマネジャーとの面談、そして施設や病院からの突然の呼び出し。これらは平日の昼間に、しかもしばしば急に発生します。
会社に毎日通っていると、この融通がまるで利きません。施設から「すぐ来てください」と連絡が入っても、オフィスから駆けつけるには一時間かかる。朝の通院に付き添えば、その日は出社できない。介護のたびに、まとまった移動時間と「その場にいなければならない拘束」が重くのしかかります。介護そのものより、介護と出社を両立させるための移動と時間のやりくりに、心身をすり減らしていくのです。
その結果、多くの人が最終的に仕事のほうを諦めます。総務省の「就業構造基本調査」によると、介護や看護を理由に離職する人は、年間およそ10万人にのぼります(総務省「令和4年就業構造基本調査」)。毎年、これだけの人が、キャリアや収入を手放して介護に専念せざるをえなくなっている。
介護離職は、本人にとっても大きな損失です。収入が途絶え、キャリアが中断し、介護が終わったあとの再就職も簡単ではありません。介護する側が経済的にも精神的にも追い詰められれば、介護そのものも続かなくなります。誰も幸せにならない選択を、多くの人が「ほかに方法がないから」と選んでいるのが現実です。
そして見落とされがちなのが、この離職の引き金の多くが「仕事内容」ではなく「働き方」にあることです。仕事は続けたいのに、通勤を含む今の働き方では物理的に両立できない。だから辞める。もし通勤という制約がなければ、辞めずに済んだ人は決して少なくないはずです。
在宅で働けると、介護と仕事の関係は大きく変わります。デイサービスの送り出しをしてから仕事を始め、迎えの時間に一度手を止める。通院に付き添った日も、待ち時間や帰宅後に仕事を進められる。急な呼び出しにも、移動の負担なくすぐ動ける。仕事を「休む」か「辞める」かの二択ではなく、介護の合間に仕事を続けるという第三の道が現実になります。
もちろん、リモートワークは介護そのものを肩代わりしてくれるわけではありません。仕事をしながら介護もするのは、簡単なことではないでしょう。それでも、「通勤のために介護を諦める」「介護のために仕事を諦める」という究極の二択から解放されるだけで、選べる道はぐっと広がります。辞めずに済む可能性が残るということは、それだけで大きな救いです。
「会社に介護休業制度があるから大丈夫」と考える人もいます。たしかに、法律で定められた介護休業は大切な仕組みです。けれど、この制度は対象となる家族一人につき通算93日まで、と期間が限られています。
ここに、見落とされがちな落とし穴があります。介護は、93日で終わるものではないからです。多くの場合、介護は数年、ときに10年以上にわたって続きます。介護休業は「介護に専念するための時間」というより、本来は「介護と仕事を両立させる体制を整えるための準備期間」として想定されているものです。つまり、休みが明けたあとに、働きながら介護を続けられる状態をどう作るかが本当の課題になります。
その長い両立期間を支えるのは、まとまった休業よりも、日々の柔軟な働き方です。毎日の送り迎えや急な対応に、そのつど無理なく応じられるか。ここでもやはり、通勤の有無が効いてきます。制度で数か月をしのいでも、日常の働き方が通勤前提のままでは、結局どこかで行き詰まってしまうのです。
介護は、多くの人にとって他人事ではありません。今は必要なくても、数年後に直面する可能性は誰にでもあります。だからこそ、まだ余裕のあるうちに、いざというときに両立できる働き方に移っておくという備え方があります。
通勤のない働き方に移るために、キャリアや収入を諦める必要はありません。営業や企画、事務といったビジネス職でも、在宅中心で働ける仕事は実際に存在します。ただし、求人票の「リモート可」を額面どおりに受け取らないことです。実際には週の何日かは出社が必要で、いざ介護が始まったときに結局動けない、ということになりかねません。本当に融通の利く働き方かどうかは、出社頻度の事実で見極める必要があります。
NoTrainは、掲載する求人について、実際にどれくらい出社するのかを募集要項の原文まで確かめています。介護に限らず、家庭の事情と仕事を両立させたい人が、いざというときに動ける働き方を、雰囲気ではなく事実で選べるようにするためです。
介護と仕事の両立を難しくしている大きな要因は、仕事の内容ではなく通勤です。介護は平日の昼間に急な対応を求めてきて、毎日出社する働き方とは相性が悪い。その結果、年間およそ10万人が介護離職を選んでいます。けれど通勤がなくなれば、休むか辞めるかの二択が、両立という第三の道に変わります。まだ余裕のあるうちに、いざというときに動ける働き方を選んでおくことが、これからの備えになります。
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