
「いい仕事は都会にしかない」は、もう古い。
やりがいのある仕事も、高い年収も、成長できる環境も、都会に出なければ手に入らない。長らく信じられてきたこの前提が、いま静かに崩れつつあります。住む場所とキャリアを切り離せる時代の話をします。
働き方・キャリア

一回の通勤は、たかが往復一時間ちょっと。多くの人は、そう考えています。だから、つらくても「まあこれくらい」と受け流せる。でも、その「これくらい」を、二十年、三十年と積み重ねたら、いったいどれだけの時間になるのか。真剣に計算したことがある人は、意外と少ないのではないでしょうか。
今日は、感情論を抜きにして、ただ数字だけで考えてみます。あなたが定年までに、通勤という行為だけで、どれだけの時間を差し出すことになるのか。電卓を叩くような気持ちで、最後まで読んでみてください。数字を見たあとで、その使い道を考え直したくなるはずです。
計算の出発点として、日本人の平均的な通勤時間を確認します。総務省の「令和3年社会生活基本調査」によると、日本の通勤・通学の時間は、往復でおよそ1時間19分です。年間の勤務日をおよそ240日とすると、これだけで1年に約300時間を通勤に費やしている計算になります。
300時間と言われても、まだピンとこないかもしれません。言い換えると、まる13日分、つまり2週間近くを、毎年ただ移動するためだけに使っているということです。一日24時間として、13回分の「一日」が、通勤で丸ごと消えていく。これが、たった1年ぶんの数字です。
しかも、この300時間は睡眠を含んだ計算です。起きて活動している時間だけで考えれば、体感の重みはさらに増します。あなたが自由に使えるはずだった「起きている時間」から、これだけが毎年引かれているのです。
では本題です。この年300時間を、働く年数ぶん積み上げてみましょう。
仮に、22歳で働き始めて65歳まで勤めるとします。43年間です。300時間 × 43年で、生涯の通勤時間はおよそ12,900時間になります。時間だと大きすぎて実感が湧かないので、日数に直します。12,900時間 ÷ 24時間で、約537日。つまり、1年半近くを、まるまる通勤に費やす計算です。人生のうち、およそ1年半を、ただ移動し続けて終える。
さらに現実に寄せて、「起きている時間」だけで数え直すと、もっと生々しくなります。一日の活動時間を16時間とすれば、12,900時間は約806日。起きて活動できる二年以上ぶんを、通勤に投じていることになります。都心で長時間通勤の人なら、往復2時間を超えることも珍しくありません。その場合、この数字はさらに倍近くまで膨らみます。
改めて向き合ってください。あなたはこれから、目が覚めている状態の二年ぶんを、満員電車や渋滞に差し出そうとしている。一回一時間の「これくらい」の正体は、これだったのです。
数字が大きすぎて、逆に他人事に感じるかもしれません。だから、少し想像を具体的にしてみます。
もし、その二年ぶんの時間が手元にあったら。難しい資格の勉強なら、いくつも取れる時間です。子どもが小さいうちの、二度と戻らない朝と夜に、何百回も立ち会える時間です。趣味を極めることも、しっかり眠って体を整えることも、副業で新しい収入の柱を作ることもできる。人生を変えるには、十分すぎる分量です。
私たちが通勤で失っているのは、単なる「移動時間」ではありません。本来なら人生を豊かにするために使えたはずの、二年ぶんの可能性そのものです。そしてこの二年は、お金で買い戻すことも、あとでまとめて取り返すこともできません。一日一日、静かに消えていくだけです。
ここまで読んで気が重くなったかもしれませんが、伝えたいのは絶望ではありません。むしろ逆です。この数字は、あなたの選択で変えられるということです。
地震や病気と違って、通勤は自分の意思でコントロールできる領域にあります。働き方を変えれば、年300時間は限りなくゼロに近づけられる。定年までの二年ぶんが、そっくりあなたの手元に戻ってくる。これは、他のどんな時間術や効率化よりも、桁違いに大きなリターンです。一日15分の隙間時間をかき集める努力とは、そもそも規模が違います。
そして、その二年を取り戻すために、キャリアや収入を犠牲にする必要はありません。場所に縛られずに成果を出せる仕事は、ビジネス職にも確実にあります。問題は、それをどう見つけるかだけです。
ひとつだけ、現実的な注意を添えておきます。通勤時間を取り戻そうとリモートの仕事を探すとき、募集要項の「リモート可」という表記だけを頼りにすると、足をすくわれます。いざ入ってみたら実際は週に何日も出社が必要で、取り戻せたはずの時間が半分しか戻らなかった、という話は本当によくあります。せっかく人生の二年をかけた決断が、言葉のあいまいさで台無しになるのは、あまりにもったいない。
NoTrainがこだわっているのは、まさにこの一点です。掲載する求人は、募集要項の文言ではなく、原文にあたって実際の出社頻度を一件ずつ確かめ、通勤がゼロなのか、週に一度なのか、二度なのかまで見極めたうえで届けています。あなたが取り戻せる時間が、数字のうえで本当にどれだけあるのか。それを事実で判断できるようにするための仕組みです。人生の二年をかける選択だからこそ、雰囲気ではなく事実で選んでほしいと考えています。
一回の通勤は、往復一時間ちょっと。でも定年まで積み上げれば、起きて活動できる二年以上ぶんの時間を、私たちは移動だけに費やします。長時間通勤の人なら、その倍近くにもなる。失っているのは移動時間ではなく、人生を変えられたはずの膨大な可能性です。そしてこの数字は、天災ではなく、自分の選択で変えられます。
自分の人生の時間を、これ以上ただで手放したくない人へ。NoTrainのニュースレターでは、出社頻度を事実まで確かめたビジネス職のリモート求人を、毎週お届けしています。あなたの手元に、二年を取り戻す一歩として、よければ登録してみてください。

やりがいのある仕事も、高い年収も、成長できる環境も、都会に出なければ手に入らない。長らく信じられてきたこの前提が、いま静かに崩れつつあります。住む場所とキャリアを切り離せる時代の話をします。

満員電車も長い通勤も、まるで天気のように「どうしようもないもの」として受け入れていないでしょうか。でも通勤は、地震や台風とは違います。自分の意思で変えられる。仕方ないと諦めていた前提を、一度ほどいてみる話です。

金曜の夜、心から解放された気持ちになる。その幸福感を疑う人は少ないと思います。けれど、解放感が大きいほど、平日がそれだけ苦しいということ。振れ幅の大きさは、我慢の大きさかもしれません。週末の高揚を、少し違う角度から見てみます。