
その疲れ、仕事のせいだと思っていませんか。
毎日どっと疲れて、仕事が向いていないのかもと悩む。でもその疲れの正体は、仕事の中身ではなく、そこへたどり着くまでの移動かもしれません。原因を取り違えたまま我慢していないか、データとともに考え直します。
働き方・キャリア

家に帰ると、つい家族にそっけない態度をとってしまう。子どものささいな一言にイラッとする。パートナーの何気ない頼みごとに、余裕をもって応えられない。そんな自分に気づいて、「自分はもともと気が短いのかもしれない」と落ち込む人がいます。
でも、少し待ってください。その機嫌の悪さは、あなたの生まれ持った性格のせいだと決めつける前に、疑ってほしいものがあります。毎日の通勤で、あなたはすでに、機嫌よくいるための余力を使い果たしているのではないでしょうか。 人は、疲れているときほど心の余裕を失います。そして通勤は、その余裕を毎日きっちり削り取っていく作業です。今日は、通勤と機嫌の、見過ごされがちな関係について考えます。
私たちは、機嫌の良し悪しを、その人の性格の問題として捉えがちです。あの人は穏やか、この人は短気、というふうに。でも実際には、同じ人でも、余力があるときとないときで、機嫌はまるで変わります。
心と体に余裕があるとき、人は他人の失敗に寛容になれるし、頼みごとにも笑顔で応じられます。ところが疲れ果てているときは、同じ出来事でもイライラしてしまう。つまり機嫌とは、固定された性格ではなく、そのときどきの余力の表れなのです。だとすれば、毎日大量の余力を奪うものがあれば、その人はいつも機嫌が悪い人になってしまう。その最有力候補が、通勤です。
満員電車に押し込まれ、身動きが取れないまま揺られる。遅延にやきもきし、乗り換えを急ぎ、人の波をかき分ける。この一連の体験が、心地よいという人は、まずいません。実際、片道1時間以上かけて通勤している人の84.6%が、通勤にストレスを感じているという調査があります(AlbaLink、2023年調査)。8割を超える人が、毎日の移動で神経をすり減らしているのです。
しかも、このストレスは一度きりではありません。行きと帰り、毎日欠かさず、あなたに課されます。総務省の調査では、通勤時間は往復でおよそ1時間19分、年間で約300時間にのぼります(総務省「令和3年社会生活基本調査」)。この300時間、ただ時間を失っているだけでなく、そのあいだじゅう、機嫌よくいるための余力を削られ続けている。会社に着く頃、そして家に帰り着く頃には、心のバッテリーはとうに減っているのです。
やっかいなのは、この消耗のしわ寄せが、どこに向かうかです。通勤で神経をすり減らしても、職場では気を張って、それなりに感じよく振る舞います。取引先にも上司にも、無愛想な態度はとれません。では、削られた余力の不足は、どこで表面化するのか。多くの場合、それは家庭です。
いちばん気を許せる相手、つまり家族に対して、私たちは余力の切れた素の状態を見せてしまいます。本当は大切にしたいはずの人に、いちばんぞんざいな態度をとってしまう。これは、あなたが家族を軽んじているからではありません。外で気を張り、通勤で消耗し尽くした結果、家に帰る頃には優しくするための余力が残っていない、というだけのことです。切ないすれ違いですが、原因が余力にあるなら、対処のしようがあります。
通勤をなくした人が口をそろえて言うことのひとつが、「機嫌がよくなった」「家族に優しくなれた」です。これは精神論ではなく、単純な引き算の結果です。毎日削られていた余力が温存されれば、その分だけ、人に優しくする余裕が生まれる。朝、満員電車で消耗せずに一日を始められれば、日中の機嫌も違う。夕方、移動で疲れ切らずに一日を終えられれば、家族に向ける表情も変わります。
性格を無理に変えようと頑張る必要はなかったのかもしれません。変えるべきだったのは、余力を奪っていた通勤のほうだった。機嫌の良さは、意志の力で絞り出すものではなく、余力があれば自然とにじみ出るものだからです。
もしあなたの機嫌の悪さの一因が通勤にあるのなら、朗報です。それは、性格の矯正よりずっと簡単に解決できます。通勤をなくせばいいのです。そして、そのために年収や仕事のやりがいを諦める必要はありません。場所に縛られずに働けるビジネス職の仕事は、実際に存在します。
ただ、ひとつ気をつけたいことがあります。求人に「リモート可」とあっても、実際は週の半分は出社が必要で、通勤ストレスが結局残ってしまう、という場合があります。せっかく余力を取り戻すつもりが、中途半端では意味がありません。私たちNoTrainは、掲載する求人について、実際に何日出社するのかを募集要項の原文まで確かめてから紹介しています。あなたが機嫌よくいられる余力を、本当に守れる働き方かどうか。それを、雰囲気ではなく事実で見極められるようにするための仕組みです。
家族に当たってしまう、些細なことでイライラする。その機嫌の悪さは、あなたの性格ではなく、通勤で余力を使い果たしているせいかもしれません。片道1時間以上の通勤者の8割超がストレスを感じ、年間約300時間を移動に費やしている。削られた余力の不足は、いちばん近い家族に向かいがちです。通勤をなくして余力が戻れば、人は自然と優しくなれます。変えるべきは性格ではなく、余力を奪う通勤のほうかもしれません。
通勤のストレスそのものを減らす具体策は、満員電車のストレスの原因と対処・根本解決にまとめています。
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毎日どっと疲れて、仕事が向いていないのかもと悩む。でもその疲れの正体は、仕事の中身ではなく、そこへたどり着くまでの移動かもしれません。原因を取り違えたまま我慢していないか、データとともに考え直します。

毎週5日、会社に通う。当たり前すぎて疑ったこともないかもしれません。でも、なぜ週5なのか、なぜ毎日なのかを説明しようとすると、意外と言葉に詰まります。無自覚に受け入れている「当たり前」を、一度立ち止まって見直します。

通勤で疲れる、つらい、休んでも疲れが取れない。その正体を身体・精神・時間・自律神経の4つから整理し、疲れをためない具体的な工夫と、通勤そのものを減らす根本的な見直しまでを、一次データとともに誠実にまとめました。