
通勤をやめたら、機嫌がよくなった。
家族に当たってしまう。些細なことでイライラする。それはあなたの性格のせいではなく、毎日の通勤で神経をすり減らしているせいかもしれません。通勤ストレスが人柄や人間関係にまで及ぶ話を、データとともに考えます。
働き方・キャリア

一日を終えて、どっと疲れが押し寄せる。この仕事、自分に向いていないのかもしれない。もっと楽な仕事に変えたほうがいいのだろうか。毎晩そんなことを考えてしまう人は、少なくないと思います。
でも、その疲れの原因を「仕事」だと決めつける前に、一度立ち止まってほしいのです。あなたをそこまで消耗させているのは、仕事の中身ではなく、そこへたどり着くまでの移動かもしれない。 疲労には、必ず原因があります。そして、その原因を取り違えると、本当は変えなくていいものを変えようとして、遠回りをしてしまいます。今日は、その「疲労の誤診」について考えてみます。
体がだるい、気力が湧かない、朝がつらい。こうした疲れを感じたとき、人はいちばん目立つ容疑者を犯人にしがちです。一日の大半を占める「仕事」です。仕事がつらいから疲れるのだ、と。
けれど、疲労の原因は一つとは限りません。仕事そのものは、実はやりがいもあって嫌いではない。人間関係も悪くない。それでも毎日ぐったりしているなら、犯人は別にいる可能性があります。真っ先に疑うべきなのが、毎日の通勤です。満員電車で揉まれ、乗り換えを走り、席にも座れないまま職場に着く。この時点で、あなたの心と体のスタミナは、仕事を始める前からすでに削られています。
厄介なのは、通勤の疲れが「仕事の疲れ」に見えてしまうことです。会社に着いた頃にはもうへとへとで、その状態で働くから、余計に仕事がしんどく感じる。こうして私たちは、通勤が原因の疲れまで、仕事のせいにして記録してしまうのです。
これは気のせいではありません。片道1時間以上かけて通勤している人の84.6%が、通勤にストレスを感じているという調査があります(AlbaLink、2023年調査)。8割を超える人が、移動そのものに参っているのです。
しかも通勤は、時間の面でも小さくありません。総務省の「令和3年社会生活基本調査」によると、日本の通勤・通学時間は往復でおよそ1時間19分、年間にすると約300時間にのぼります。毎日、仕事を始める前と終えたあとに、この消耗が漏れなく上乗せされている。疲れて当たり前です。むしろ、これだけの負担を毎日引き受けながら成果を出しているあなたは、十分すぎるほど頑張っています。
つまり、あなたの疲れの相当な部分は、仕事の能力や適性の問題ではなく、移動という外部要因によって説明がつくのかもしれない。この可能性を、一度真剣に検討する価値があります。
原因の取り違えが怖いのは、間違った対処につながるからです。疲れの犯人を「仕事」だと誤診すると、人は仕事のほうを変えようとします。転職を考え、職種を変え、場合によってはキャリアを一から作り直そうとする。
けれど、本当の原因が通勤だったとしたらどうでしょう。せっかく転職しても、次の職場にも通勤がついてくれば、同じ疲れがまたやってきます。原因を放置したまま、まわりだけを変えても、消耗は消えません。頑張って環境を変えたのに、なぜかまた同じようにぐったりしている。これは、疲労の誤診がもたらす、いちばん切ない結末です。
だからこそ、動く前に切り分けてほしいのです。あなたが疲れているのは、仕事の中身に対してなのか。それとも、そこへ通うことに対してなのか。この二つは、まったく別の問題です。
切り分けの方法は、思考実験でできます。もし明日から通勤がゼロになって、同じ仕事を家でできるとしたら。それでもまだ、その仕事に強い疲れやストレスを感じるでしょうか。
もし答えが「それなら続けられそう」なら、あなたの疲れの主犯は通勤です。変えるべきは仕事ではなく、働く場所のほうだった、ということになります。逆に、通勤がなくなっても仕事自体がつらいと感じるなら、そのときは仕事の中身に向き合えばいい。原因が特定できて初めて、正しい打ち手が選べます。
もし疲れの正体が通勤なら、朗報です。それは、仕事やキャリアを手放さずに解決できるからです。場所に縛られずに成果を出せるビジネス職の仕事は、実際に存在します。今の仕事が好きなら、その力を活かせる似た仕事を、通勤のない形で見つければいい。ゼロからやり直す必要はありません。
ひとつだけ、現実的な落とし穴を伝えておきます。求人情報で「リモート可」と書かれていても、その中身はさまざまです。蓋を開ければ週に何度も出社が必要で、疲れの原因だった通勤が半分残ってしまった、という話は珍しくありません。誤診をようやく正したのに、対処が中途半端で終わるのは、あまりにもったいない。
私たちNoTrainは、この「中身のあいまいさ」をなくすことに力を注いでいます。掲載する求人は、募集要項の言葉ではなく、実際に何日出社するのかを原文まで確かめてから紹介しています。あなたの疲れの原因を本当に取り除ける働き方なのか。それを、雰囲気ではなく事実で見極められるようにするためです。疲労の誤診に長く苦しんできた人ほど、この違いは大きいはずです。
毎日の疲れを、反射的に「仕事のせい」にしていないでしょうか。片道1時間以上の通勤者の8割超がストレスを感じ、年間約300時間を移動に費やしている。その消耗が、仕事の疲れに紛れ込んでいる可能性は十分にあります。原因を取り違えたまま転職しても、通勤がついてくれば同じ疲れが戻ってくる。まずは、疲れているのが仕事にか、通勤にか、を切り分けてください。
疲れの一因である満員電車そのものへの対処は、満員電車のストレスの原因と対処・根本解決で具体的に紹介しています。
自分の疲れの正体を、正しく見極めたい人へ。NoTrainのニュースレターでは、出社頻度を事実まで確かめたビジネス職のリモート求人を、毎週お届けしています。原因を取り違えずに働き方を選ぶ材料として、よければ登録してみてください。

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